Vercelが公開したAI Gatewayの2026年10月版指標は、実運用では「量はオープンウェイト、金はクローズドモデル」という分業がすでに成立していることを示した。オープンウェイトはゲートウェイのトークンの71.5%を処理する一方、支出は23%にとどまる。単純計算すると、同じゲートウェイ上のトークン1単位あたりの支出はオープンウェイトがクローズド側の約8分の1だ(クローズド側=トークン28.5%・支出77%として算出)。大量に呼ぶ定型処理をオープンウェイトへ寄せられる開発者は、コストを大きく削れる。そしてその支出シェアは6月から4倍超に伸びており、モデル選択の主戦場が「最高性能の1点」から「用途ごとの価格性能の振り分け」へ移っていることを裏づける。本当の問いは、クローズドモデルに残る77%の支出が、どこまで性能差だけで守られ続けるのかだ。

何が起きたか

Vercelは2026年10月15日、自社AI Gatewayの利用実態をまとめた月次指標を公開した。主な数字は次のとおり。

  • オープンウェイトモデルがトークンの71.5%、支出の23%を占める。
  • オープンウェイトの支出シェアは、6月から4倍超に増えた。
  • 9月に、ほぼ3チームに1チームが「最も使うラボ」を変更した。これは同指標で過去最高。

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指標 値
オープンウェイトのトークンシェア 71.5%
オープンウェイトの支出シェア 23%
支出シェアの6月比 4倍超
9月に最も使うラボを変えたチーム 約3分の1(指標の過去最高)

トークンシェアと支出シェアの差は、単価の差を映す。ただし両者は同一ゲートウェイ内の比率であり、絶対額やモデル別の内訳は本稿では確認していない。

新モデル「Jev」:試用と定着は別

Vercelによると、Jevは同ゲートウェイ史上最速で採用されたモデルで、最初の2週間で有料チームの35%に到達した。一方、同期間のゲートウェイ支出に占める割合はわずか0.27%だった。なお同ブログ内でJevの支出シェアは0.15%(発売の節)、約0.3%(スコアカード表)とも報告されており、期間や定義の違いが考えられる。本稿は単一値を断定せず、「0.3%以下の水準」と読むにとどめる。

多くのチームが試したことと、支出が動くことは別だ。切り替えのコストが低いほど、試用は広がるが、本番の支出配分はすぐには動かない。

なぜ重要か

  • 開発者・意思決定者: 同一ゲートウェイ上でモデルを差し替えられる環境では、タスクごとにモデルを振り分けるだけで支出構造が変わりうる。主力ラボを1社に固定する前提は、約3分の1が1か月で乗り換えた現実とずれている。
  • 大きな流れ: 蓄積されたフロンティアモデル競争の文脈では、オープンウェイトの存在感は上がり続けている。今回のデータは、その存在感がベンチマークだけでなく、実運用のトークン量と支出の双方に表れていることを示す。

留意点

出典はVercel自身のゲートウェイ利用者に限った統計で、市場全体の代表値ではない。本稿はVercel公式ブログの記載に基づき、表・グラフの詳細(トークンと支出の定義、集計期間、モデル別内訳)までは逐語確認していない。