OpenAIが新たに出したのは、より賢い生成モデルではなく、「文章を書かせず判定だけを返させる」専用の口だ。Decisions APIは入力100万トークン0.10ドルで、キャッシュの読み書きや出力トークンの別課金がない。分類・ルーティング・優先度付けのようにエージェントの中で大量に呼ばれる判定処理を回す開発者は、その呼び出しを生成APIから切り出すことで、レイテンシと単価の両方を下げる余地が生まれる。コスト構造が問われる局面で、処理を「賢いモデルに任せる」から「軽い判定を安く大量に挟む」へ分ける設計が、モデルの束ね方の巧拙を左右する。本当の問いは、エージェントの判断のどこまでを生成モデルの外に出せるか、である。

何が起きたか

OpenAIは2026年10月7日、Decisions APIを全開発者向けの公開ベータとして提供した。専用エンドポイントは POST /v1/decisions で、公式ドキュメントはGA(一般提供)を「coming weeks」(数週間以内)と予告している。現時点で使えるモデルは gpt-6-luna のみだ。

仕組み・詳細

テキスト・画像、またはその両方を入力とし、型付きの答えを返す。出力は3種類ある。

  • Predicate(述語): 条件が真である確率(0〜1)を返す
  • Choice(選択): こちらが供給した選択肢から1つを選ぶ
  • Score(スコア): 順序レベル(ルーブリック)に対する確率加重平均を返す

画像はインラインのbase64 data URLのみで渡せる。HTTP/HTTPS URLやfile IDは使えない。用途は分類・ルーティング・優先度付けで、生成ではなく型付きの判定を返す小型・低遅延のAPIという位置づけだ。ZDRとHIPAA(対象顧客)に対応し、データレジデンシーは米国・欧州とされている。

数字で見る

  • 価格: 入力100万トークンあたり0.10ドル。cache-read・cache-write・outputトークンの別課金はない。ただしドキュメントによると、地域処理の割増や長文脈の乗数が適用されうる
  • 速度: コミュニティ告知は「GPT-6 LunaをResponses API経由で使う場合より最大10倍高速」と述べる。ベンチ条件・測定方法は記載がなく、ベンダー自己申告の「最大」値で独立検証もない(根拠強度: 中)

なお、比較対象の表記は「Responses APIより約10倍」と「Responses API経由のGPT-6 Lunaより最大10倍」の2通りが流通している。詳細に当たるコミュニティ告知の後者が厳密な表現だ。

背景

AIインフラと運用の競争は、最上位モデルの賢さだけでなく、実務で大量に呼ばれる層の単価と速度に広がっている。エージェントを本番で回す基盤の商用化や、安く速いモデルをどう束ねるかという関心は、これまでのオーケストレーションの流れの延長にある。Decisions APIは、その束ねる処理のうち「判定」を独立したプリミティブとして切り出した例として読める。

なぜ重要か

判定を生成APIの外へ切り出せれば、エージェントの各ステップで挟む分岐やルーティングの単価が固定的に見積もれる。出力トークン課金がないため、コストは入力量で決まる。一方で、10倍速は自己申告であり、公開ベータ段階で利用可能モデルも1つに限られる。自社の入力長とワークロードで実測してから切り替えるのが前提になる。

なお、この出来事を「決定モデル市場へのフロンティアラボの正式参入」と位置づける見方は編集上の解釈であり、一次ソースに記述がなく、未検証である。