OpenAIが動かしたのは、モデルのベンチマークではなく、エージェント製品が実際にどれだけ使われているかを示す実数だ。同社でCodex・ChatGPT Workを率いるプロダクトリードTibo Sottiaux氏は2026年7月21日、両プロダクト(いずれも有料ユーザー)の合計利用者数が1000万人に到達したと明らかにした。同氏の連続投稿をたどると、7月13日の700万人から7月14日に800万人、7月21日には1000万人へと、わずか1週間強で3割以上のペースで積み上がっている。Sam Altman CEO自身も7月14日、ChatGPT Work公開から約1週間でエージェント製品の利用が2.5倍に増えたと投稿しており、両者の発言は整合する。企業でAIエージェント導入を検討する実務者にとって、この数字は「エージェントは実際に業務で使われ始めているのか」という問いに対する数少ない具体的な定量シグナルになる——複数アプリ横断でタスクを遂行するChatGPT Workの新しいUXを投入した直後にこれだけの急拡大が起きたことは、単体チャットボットから自律実行型エージェントへの移行が机上の議論ではなく実際の利用曲線として動き始めていることを示す。ただしこれはOpenAI公式発表ではなく社員個人のXアカウントからの自己申告値であり、「利用者」の定義や算出方法も公開されていない——各社がエージェント製品の普及を数字で競い合うほど、今後は"利用者数"という指標そのものの定義・監査可能性・比較可能性が問われる局面が増えていくはずだ。
何が起きたか
Tibo Sottiaux氏は7月21日、「10M! New day, new usage reset for paid users of Codex and ChatGPT Work.」と投稿し、CodexとChatGPT Workの合計有料利用者数が1000万人に達したことを明らかにした。同氏は直前にも7月13日に700万人、7月14日に800万人到達を連続して発信しており、今回の1000万人はその延長線上にある。
Sam Altman氏は7月14日、「2.5x increase in usage of our agentic products (codex and chatgpt work) in the last week! welcome.」と投稿し、ChatGPT Work公開から約1週間でエージェント製品の利用が2.5倍に増えたと明らかにした。ChatGPT Work自体は2026年7月9〜10日にOpenAI公式Developer Communityで発表されており、この投稿はその直後の急伸を示している。
数字で見る
| 時点 | 利用者数(Codex+ChatGPT Work、有料合算) |
|---|---|
| 2026-07-13 | 700万人 |
| 2026-07-14 | 800万人 |
| 日付非公開 | 900万人 |
| 2026-07-21 | 1000万人 |
ChatGPT Work公開(7/9〜10)から約1週間後の時点で、エージェント製品全体の利用が2.5倍に増えたともAltman氏は述べている。いずれもOpenAI社員本人のX投稿が出典であり、監査済みの公式統計ではない点には留意が必要だ。
背景
ChatGPT Workは2026年7月9〜10日、OpenAI公式Developer Communityで発表された。複数のアプリをまたいでコンテキストを収集し、複数ステップのタスクを遂行して完成物を返すという設計で、GPT-5.6を搭載する。1,400以上の連携アプリのディレクトリを備え、Scheduled Tasksで継続的な作業を任せられる点も特徴だ。段階的なロールアウトで提供されている。
この公開を境に、Codexと合わせたエージェント製品全体の利用が急伸したというのが、今回の2つの投稿が示す流れになる。
なぜ重要か
CodexとChatGPT Workの合計利用者が1カ月足らずで700万人から1000万人へ積み上がったという推移は、AIエージェントが実験段階を抜けて実際の業務で使われ始めていることを示す、数少ない具体的な定量データだ。企業でエージェント導入を検討する意思決定者にとっては、機能デモやベンチマークではなく実利用者数という形で投資判断の材料が一つ増えたことになる。複数の二次報道はこの急伸をAnthropicのエージェント製品「Cowork」との競争激化の文脈で位置づけているが、これは報道側の解釈でありOpenAI自身が競合を名指ししたわけではない。
一方で、この数字がOpenAI公式サイトや決算資料ではなく社員個人のXアカウントからの自己申告である点は変わらない。「利用者」が週間アクティブなのか有料アクティブなのか、CodexとChatGPT Workをどう合算しているのかといった算出方法は公開されておらず、監査済みの指標でもない。AIエージェントの普及競争が各社で語られるほど、今後は成長率そのものよりも、"利用者数"という指標がどう定義され、第三者が検証できる形で開示されるのかが問われる局面が増えていくだろう。