米国商務省産業安全保障局(BIS)は2026年6月12日、Claude Fable 5とMythos 5について外国籍者(Anthropic自社の外国籍従業員を含む)による全アクセスを停止する指令を発出した。輸出規制は6月30日に解除され、7月1日にグローバルで再開した。
何が起きたか
Anthropicの公式発表によれば、BISは商務長官Howard Lutnickの署名による指令を発出し、Anthropicは同日「5:21pm(ET)」にこれを受領した。指令はFable 5・Mythos 5について、米国内外を問わず外国籍者による全アクセスの停止を求めるものだった。停止の引き金は、Amazonの研究者がFable 5をバイパス(ジェイルブレイク)する手法を発見・報告したことである。具体的には「特定のコードベースを読ませソフトウェアの欠陥を修正させる」プロンプトにより、既知の軽微な脆弱性の悪用手順を生成させた事例だとされる。Anthropicはこれに対し「The potential jailbreaks that have been disclosed to us are either entirely benign responses or are minor findings that provide no Mythos-specific uplift.」と反論した。
仕組み・詳細
Anthropicの発表によると、Fable 5は発売前に「数千時間」のレッドチーミングを経ており、「30日間のデータ保持要件」を課されていた。停止時点での既存デプロイの利用者は「数億人」規模だったという。輸出規制は6月30日に「the export controls on Fable 5 and Mythos 5 have been lifted」として解除され、翌7月1日(水)にClaude Platform・Claude.ai・Claude Code・Claude Coworkでグローバル再開した。AWS・Google Cloud・Microsoft Foundryは順次再有効化予定とされている。
| 日付 | 出来事 |
|---|---|
| 2026-06-12 17:21(ET) | BIS指令をAnthropicが受領、外国籍者アクセス停止開始 |
| 2026-06-30 | 輸出規制解除 |
| 2026-07-01(水) | Claude Platform / Claude.ai / Claude Code / Claude Coworkでグローバル再開 |
| 2026-07-07 | 週間利用上限50%方式から利用クレジット方式へ移行 |
数字で見る
指令受領(6月12日)から解除(6月30日)までは日付の差分で計算すると18日間である。停止期間の呼称には表記ゆれがあり、一部報道は「19日間」とするが、本稿では両日付から自前で計算した数値を採用した。再開後に導入された改良版セーフティ分類器は、報告された挙動を「over 99% of cases」でブロックするとAnthropicは説明している。トリガー時はClaude Opus 4.8へのリクエストがフィルタリングされる。
背景
CSISの分析記事は、指令の法的根拠としてECRA(輸出管理改革法2018)の新興・基盤技術に対する暫定規制権限、EAR §744.22(軍事情報end-use/end-user規制)、§734.13(輸出範囲の定義)が引用されたと報じている。ただし米国商務省・BIS自身が発出した公式プレスリリース本文は一次ソースとして未到達であり、直接確認できたのはAnthropicの発表2本に限られる。商務長官Lutnickの発言とされる引用もCSIS経由であり、CSIS自体は一次ソースではない点に留意が必要である。
なぜ重要か
Anthropicは再開にあたり、ジェイルブレイクの重大度を評価する4基準(能力向上度・能力向上の広さ・武器化の容易さ・発見可能性)を提案している。今回の一件は、AIモデルへの外国籍者アクセスという形で輸出規制が発動された事例であり、料金体系も週間利用上限方式からクレジット方式へと移行した。過去の半導体輸出規制との異同や、他社への波及については、seed-researchの範囲では確認できておらず、断定を避けている。